Movies

ドラゴンヘッド/飯田譲治/映画「ドラゴンヘッド」制作委員会

同じような廃墟を描いてはいても、ユダヤ人迫害という圧倒的な意味に支えられた「戦場のピアニスト」に比べ、その理由が曖昧なために「ドラゴンヘッド」の廃墟は極めてシュールだと一応は言えるでしょう。また、主人公の友人や家族との交流が全く回想されないために、それらを失った悲しみというものに感情移入することも難しい構成になっています。

説明不足・描写不足とも思えるそのような作り方は必ずしも欠点ではありません。

普段はいじめられていたノブオが生き残ったのをきっかけに王様のように振る舞い始めるのを見ても、非常につまらない言い方ですが、この映画は、現代の高校生達の殺伐とした心象風景を描いたものだといえるでしょう。ノブオはなにやら猟奇的事件でよく見られるような死者を集めた儀式まで行います。

灰の降り積もる大地を何日もさまよった末に発見するのは、コンビニであり、そこにあったペットボトルのお茶です。彼等に潤い、安らぎ、そして文字通り生きる糧を与えてくれるのはやはりコンビニのようです。

何故か危機また危機を常により大きな災害によって救われてしまう主人公、そして、可愛いらしく、従順で、いつも自分を頼りにしてくれる、要するに今時絶対にいないであろうタイプのアコという女の子。やはり、この物語は少年誌的な妄想によって彩られています。(どこまでも都合のいいことには彼女の両親は既に死んでいる!!)

この映画がスケールの大きさに反してどこか単調なのも、現実的な根拠も想像力にも乏しいような気がするのも、少年漫画の限界なのでしょう。ただし、それが故にこの映画は別のリアリティを持ったと思います。

 

読了を知らせる空メールボタン


Page Top

ango.net(http://ango.net/)
Writing Cure(http://members.jcom.home.ne.jp/angonet/writingcure/)
初出公開:2003.8.30 最終更新:2003.8.30
1996 - 2003 Copyright (C) KAZU, all rights reserved. (Contact Me:cg2k-isi@asahi-net.or.jp, kazu@ango.net)